教員の研究コラム
中国コース
伊伏啓子 (中国語学)
私の専門は中国語学で、主に中国語学史を勉強しています。この中でも、近代(概ね17から19世紀)に中国にやってきたカトリック、プロテスタントの宣教師を中心とする西洋人が書き残したテキストを読んでいます。当時の西洋人がどのように中国語を学び、研究したのか。そして、これら非母語話者・外国語学習者としての西洋人の視点で観察された“中国語”とはどのようなものであったのかに興味を持っています。また、これらの資料に見られる中国語の語彙や語法の変化についても関心を持っています。
【福岡大学研究者情報(伊伏啓子)】
大澤武司(中国近現代史・日中関係)
院生時代以来、中国近現代史の研究をベースとしながら、戦後の日中関係を歴史学的に考察することを目指してきました。2016年に出版した『毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526人の日本人』(中公新書)は、その研究成果をまとめたものです。最近は、『日本・中共交流年誌』全17巻(ゆまに書房)や『外務省戦後執務報告 アジア局編』全18巻(ゆまに書房・2023年完結予定)など、戦後日中関係に関する資料集の編纂・監修などにも積極的に取り組んでいます。
謝平(中国語学・中国語教育)
今は現代中国語の語順について興味を持ち、調べております。例えば、程度表現に述語の前に置く程度状語もあれば、述語の後に置く程度補語もあります。また、中国語の存在、消失、出現を表す構文は、存在するモノが定名詞であれば、述語の前に置く傾向があり、不定であれば、述語の後に置く傾向が見られます。沢山の先行研究を読みながら、現代中国語における語順の仕組み及びその原理について考えてみたいと思います。
【福岡大学研究者情報(謝平)】
田村和彦(文化人類学・民俗学)
最近は、20年近く通ってきた中国のある村における、生活に関するモノの変化をいろいろと考えています。玩物喪志にならなければよいのですが。それから、日本についてもいくつかの研究を進めていますが、こちらは時間がかかりそうです。
【福岡大学研究者情報(田村和彦)】
韓国コース
安藤純子(日韓・日朝関係)
日韓・日朝間の政治外交分野について研究をしています。その中でも外交交渉過程に興味があり、交渉過程を知るために外交文書を読むことが多いのですが、文書の枠外のメモには交渉者の本音が書かれていることもあり、面白いです。また最近は、外交交渉そのものだけではなく、指導者同士の握手、贈り物、食事といった面から外交を見てみるということもしています。それらには果たしてどんな意味が込められているのかを想像しながら分析すると、一見難しそうな外交交渉もちょっと楽しいものに見えてきます。
【福岡大学研究者情報(安藤純子)】
緒方義広(日韓関係史、現代韓国社会)
専攻は政治学(国際政治)です。日韓関係を専門としていますが、今の韓国社会について広く関心を持っています。これまでは、日韓関係史の視点から韓国政府による在日朝鮮人政策について研究してきました。一方で、韓国社会に長く住んだ経験から、韓国社会の対日認識や、多文化主義(外国人政策・同胞政策)についても研究を進めています。日本と似ているようで(当たり前ですが)異なる文化をもつ韓国。韓国社会を知ることで自身の住む日本社会の在り方が見えてくることもあります。日韓関係の歴史とともに、ダイナミック・コリアと呼ばれる韓国の変化といまに注目しています。
【福岡大学研究者情報(緒方義広)】
韓国KBSワールドラジオ日本語放送「金曜ステーション」出演
松崎真日(韓国語教育学)
様々なことに関心がありますが、最近は韓国の言語景観を調査を行ったり、言語とキャリアについて考察をしています。外国語の習得が人生にどのような影響を与えるのか、人生をどう変えるのか、なぜ学ぶのか、多文化社会において街はどのような様相を見せるのか、そういったことに関心を持っています。
【福岡大学研究者情報(松﨑真日)】
「映像で学ぶキャリア 日韓の学生が専攻を生かすために」
尹秀美 (社会言語学)
私の専門は社会言語学で、主に日本語と韓国語の談話を比較しています。日本語と韓国語は語順が全く同じであるなど、文構造上の類似性が高く、また同じく待遇行動としての敬語体系を有するため様々な場面でその共通点が指摘されています。ところが、日本人と韓国人がそれぞれ日本語と韓国語で実際に会話をする場面においては、両言語のコニュニケーションの仕方にかなり異なる点が認められます。私は、日本語と韓国語の対面コミュニケーションの仕方の異同(異文化間コミュニケーション)に注目し、日本語母語話者を対象とした韓国語教育への応用も考慮しながら、研究を続けています。
【福岡大学研究者情報(尹秀美)】
柳忠熙(韓国朝鮮文学・思想史)
今までは、朝鮮の開国(1876)から韓国併合(1910)にかけて、朝鮮知識人の尹致昊(ユン・チホ、1865~1945、開化知識人・教育者)を中心に日記、新聞・雑誌、著作などを通じて、当時の知識人の問題や文学・言語空間をみてきました。最近は、尹致昊はもちろん李光洙(イ・グァンス、1892~1950?、文学者)、崔南善(チェ・ナムソン、1890~1957、出版人)など、その研究対象を広げ、植民地期(1910~45)における知識人の問題や文学・言語空間について研究を行っています。
【福岡大学研究者情報(柳忠熙)】